小学校低学年頃までの子どもは何をするにも親や身近な大人に頼ってくることが多いですが、中学年(3・4年生)以上になると友達と遊ぶ機会が増え、親元からだんだん離れていきます。
この頃になると子どもは学校での出来事を自ら親に話さなくなることから、今日は学校でどんなことがあったのか、今どんな友達と仲良くしてるのかなど、親はとても気になるものです。
そんな中で言うことを聞かなかったり、反抗的な態度をとってきたりと、この時期の子どもとの会話を持つのは大変だと言えます。
また、しつけのために注意をしたり叱ったりすると言い訳や言い逃れをすることが多くなり、そのような状況から「自分の子育てが間違っていたのではないか…」などと、悩んでしまうお母さんもいらっしゃるかと思います。
では、反抗を繰り返すこの時期の子どもはどのような心理なのでしょうか。
親への反抗とその意味
中学年になると低学年の時よりも更に自我が発達し、自分なりの考えや価値観を持つようになります。そのため、今まで絶対的な存在であった親に対し自分の意見や価値観が異なった場合に反発するようになります。
行動力も増して、自分自身に肯定的な感情を持つようになることから自分の判断は正しいという思いがあり、親に叱られても素直に聞かなくなるのです。
このような時、子どもの話をちゃんと聞かずに親の考えを押し付けてしまうと、ますます反発したり言うことを聞かなくなります。
ですが、この頃の子どもは親に対して反発することが増えたとしても、親より友達の方に関心がいくようになったとしても、決して親のことを嫌いになったわけではありません。
中学年とは言え、まだ9歳、10歳の子どもです。お母さんに甘えてくることもあるでしょう。心の成長からの反発心とまだ甘えたいという2つの相反する感情があるために子ども自身も不安定であり、自分で自分がよくわからないといった状態になるということなのです。
更に、身体も徐々に大人に近づいているため、心と身体の成長のギャップから子ども自身も何故イライラしたりするのかわかっていないのです。そうした心と身体の不安定な状態から、一番信頼できる親にイライラの感情をぶつけてしまいます。
中学年の子どもの成長
中学年の子どもは、自我の発達と心の成長のバランスが不安定になることからイライラやモヤモヤが生じるようになるのですが、心理学者エリクソンの発達論によれば、この時期の子どもは勤勉性というプラスの力と劣等感というマイナスの力がせめぎ合う時期でもあり、これはどちらが強ければ良いというわけではありません。
両者がバランスを保ち、青年期(12歳~22歳頃)までに勤勉性が劣等感を上回る、いわゆるプラスの力がマイナスの力よりも強くなることが大切だと言われています。これを獲得するためには、両者をバランス良く経験することが重要になってきます。
エリクソンが提唱した発達段階は「心理社会的発達論理」と呼ばれています。人間の一生を8つの段階にわけ、その段階ごとに心理的課題と危機、課題達成により獲得する要素などを分類したもの。
例えば、勉強を頑張って良い結果を得られるというような経験(勤勉性)と、努力したのにも関わらず友達よりもテストの点数が低くて悔しい思いをする(劣等感)と、どちらも経験することが大切なのです。
両方がせめぎ合いながらも勤勉性を獲得すると自分に自信が持てるようになります。そして自信が持てるようになると自尊感情も高まります。
自信と自尊感情は密接な関係にあり、自尊感情を高めることによって何事に対しても失敗を恐れず積極的に取り組むことができ、ストレスにも強くなります。周りに流されず自分の考えを主張できるようになり、他者から評価されることにも繋がっていきます。
*自尊感情についてはこちらでお話しています↓↓↓
また、見返りを求めず自分から他者のためになる行為を「向社会的行動」と言いますが、これを行うためには相手の気持ちを察する共感性と相手の立場に立って考える役割取得能力の発達が必要になります。
この時期の子どもは自分の視点を分けて考え、取り入れることができるとされています。更には相手の気持ちを理解できるようになり、道徳的な判断についても発達していきます。このように、中学年の子どもは心身共に大きく成長ていく時期だと言えるでしょう。
中学年の友達関係
中学年の子どもは気の合う同性の友達と集団を作って行動するようになります。
この時期は急速に自我が発達するため、同じ思いや価値観の友達が心の拠り所となり、親よりも友達が中心となっていきます。仲間や集団で行動することが多くなり、友達との関わりから様々なことを学んでいくのです。
友達との集団行動を続けていくことによって集団内における自分のポジションを意識し始め、それと同時に無意識のうちに競争心も生まれてきます。
ケンカや揉めごとも起きるようになり、言い争い、我慢すること、自分の気持ちを相手に伝えること、相手の気持ちを考えること、謝る勇気や許す気持ちなど、社会に出てから必要となる対人関係を学んでいきます。
その場や周りの雰囲気に流されやすい時期でもあるため、いけないことと知りつつ皆んながやっているからとつられて良くないこと(いじめ、いたずら等)をしてしまうこともあります。
親がしっかり子どもと対話し、自分の考えで行動することの大切さと社会のルールをきちんと教えることが必要です。
ギャングエイジとは
中学年になると、友達同士で群れをつくって行動するようになります。これをギャング集団と言い、このような時期の子どもをギャングエイジと呼びます。「ギャング」と聞くと、怖い、暴力的、非行などを連想してしまいますが、「集団」を意味する言葉です。
この時期の子どもは仲間と群れることによってその集団の中の一員という意識が高まり、その仲間から外されたり悪口を言われたりすることを恐れ、集団に対して忠誠心を持つようになります。
集団は仲間意識が強く、仲間以外の他者に対し閉鎖的で敵対心をもつこともあり、集団内でしかわからない言葉や秘密などを共有したりと仲間同士の結びつきは強いと言えます。この「ギャング集団」は男子に比べ、女子に多い傾向にあります。
ギャング集団から学ぶこと
集団内にも上下関係が存在し、それは小さな社会そのものです。
- リーダー的で命令や指示を出す子
- リーダーに従う子
- 自分の意見を言う子
- 揉めごとの際に仲裁する子
- 盛り上げ役の子
- 後ろから必死について行く子
このように、仲間と行動することによって、子どもは自分の役割や責任、協力し合うこと、仲間意識からの友情などを学んでいきます。
ギャング集団は社会に出た時に必要となるスキルであり、自立していくための準備なのです。
しかしながら、近年においては子どもの生活スタイルの変化により、この「ギャング集団」というクラス内での構図が減少しています。
ギャング集団のような仲間関係を経験していないと自分の感情をコントロールすることも難しくなり、この後にやってくる思春期に影響が出ると言われています。
中学年の子どもは、発達段階において非常に重要な時期になります。大人からの注意や監視を嫌がり、自分たちの考えに基づいて行動するようになり、親や周りの大人達への依存から徐々に脱していくのです。
おわりに
中学年の子どもは親から独立したい、自分の意見を主張したい、という自律心の表れから親に対して反抗的な態度をとるようになりますが、これも社会に出た時のための大切なプロセスなのです。
親は、この時期の子どもの話を受容的な態度で聞き、大きな心で見守ってあげましょう。
ちょっとでも参考になってもらえたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました♪
*小学校低学年(1・2年生)編はこちらです↓↓↓
*小学校高学年(5・6年生)編はこちらです↓↓↓
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