「キレる」子どもの心理と脳のメカニズム

子育て

学校内ではいじめや学級崩壊といった様々な問題が起きています。

そんな中、突発的に子どもがキレて周りの人に暴力を振るい、手がつけられない状況になってしまうというような事態も起きており、その年齢も低下しているという事実もあります。

これらのトラブルを起こす子どもには原因があります。では、トラブルを起こしてしまう子どもの心はどのような状態なのでしょうか。

それは子どもを取り巻く環境にあるのです。

「キレる」が起こる脳の仕組み

ここではちょっと難しいお話になってしまいますが、急激に起こる一過性の強い感情である激怒、恍惚、驚愕、憎悪などは「情動」と呼ばれ、目や耳から入った情報が脳の「視床」から「大脳」、そして「扁桃核」へと伝わって起こるとされていました。

ですが、神経科学者のルドゥーの研究では目や耳から入った情報が視床から扁桃核へと直接伝わってしまうことが明らかになっています。

この扁桃核は2~3歳という早い段階で出来上がってしまうので、この時期での適切ではない子育てによって情動が扁桃核に刻み込まれてしまうとのちに「キレる」原因になってきます。

【視床】

脳間の一部を占める部位。嗅覚を覗き、視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を大脳新皮質へ中継する重要な役割を担う。

【扁桃核】

側頭葉内側の奥に存在するアーモンド形の神経細胞の集まり、情動反応の処理と記憶において主要な役割をもつ。

視床から扁桃核へダイレクトに伝わるということは、大脳で情報を調査せずに扁桃核によって脳が情動に取り込まれてしまうということです。

実際、キレる子どもたちはキレた後に何も覚えていないということがよくあります。

子どもの年齢とキレる原因

小学校低学年と高学年ではキレる原因も異なってきます。

低学年の頃は自分の思いどおりにならなかった時、感情のコントロールができずにキレてしまうことが殆んどです。

感情のコントロールは幼児期の生活の中で身についていくものですが、親との関わり方が適切でなかった場合、発達上の課題が小学生まで持ち越されてしまうというわけです。

その一方で高学年になると思春期に入っているため、その思春期によって心が不安定になります。女子の場合は身体が変化する時期でもあり、自分自身でも原因がハッキリしないイライラからキレてしまうということがあります。

更に中学生以上になると、自分の将来を悲観してキレるケースが多くなってきます。受験に対する不安や恋愛の悩み、友達関係などがうまくいっていない場合に、親に対して突然キレたりすることもあります。

このように子どもが突然キレた時は、頭ごなしに怒ったり過剰に反応することはせずに、まずは興奮している状態が収まるまでそっとしておくのが良いでしょう。

子どもが落ち着いた頃に「何か嫌なことがあったの?」「お母さんに聞かせてくれるかな?」などとゆっくり優しく話しかけてあげると情緒も安定してきます。

親は日頃の親子関係、学校生活、習い事のスケジュールなど、子どものどこにストレスがあるのかを探る必要があります。

トラブルを起こしやすい環境とは

トラブルを引き起こす環境とは子どもにストレスを感じさせる環境です。

具体的に次のような環境で育った子どもには悪影響を及ぼすことがわかっています。

  • 人格否定するような言葉を投げ掛けられる
  • 虐待(心理的・性的・身体的・ネグレクト)を受ける
  • 嫌なことを強制的にさせられる
  • 早い時期から知育教育を受け続ける

親から人格否定するような言葉を受けることは、子どもの成長において大きな影響を与えます。深く傷ついてトラウマになる可能性があり、自分に自信が持てずに自己否定のかたまりになります。

自分に自信が持てずにいると自らを悲観して自暴自棄になり、キレる(暴れる)という状態が起きることもあります。

次第に自尊感情が低下し、親に対して不信感をもつだけではなく人間不信に陥り、やがてそういった負の感情が爆発することによって突然キレるという行動になるのです。

放っておくと、最悪の場合うつ状態になってしまうこともあるので注意が必要です。

このようなことからも、突然キレる子どもは自尊感情の低さに関係していると言えるでしょう。

*自尊感情に関してはこちらでお話しています↓↓↓

自信のない子どもと自尊感情との関係性

また、嫌なことを強制させられることも子どもにとって精神的に大きなダメージになります。勉強の強要や習い事をたくさんさせたことでストレスが蓄積され、中学生くらいになって突然キレるという例も多くあることがわかっています。

早い時期からの知育教育に関して言えば、一部の教育関係者やメディアなどが、「◯歳までに◯◯の教育をさせるのが良い」などと早期教育の重要性を教示されていますが、精神面からみたら子どもに無理をさせてストレスになっている場合があります。

早期教育は子どものストレスになっていないか、などと常に様子を見ながら対応していくことが大切だと考えます。

*子どものストレスに関してはこちらでお話しています↓↓↓

子どもが抱えるストレスの要因

おわりに

「キレない子ども」に育つための精神発達に関して言えば、幼児期の体験、そして親の養育態度が重要になってきます。

子ども自身が興味のあることをやらせてもらえない状況だったり、親のエゴで子どもがやりたくない事をやらせていたりすることによって、大きなストレスを抱えています。

こういったことによって、子どもが精神面で無理をしていないかを見極め、ストレスを排除してあげることが必要です。

子どもの気持ちを尊重し、学習面だけでなく社会性を育てる子育てが大切です。

ちょっとでも参考になってもらえたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました♪

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