低学年の子どもの心理と関わり方

子育て

幼稚園や保育園に通っていた幼児期から小学校に入学すると大きく環境が変わります。

この時期は児童期と呼ばれ、小学校1年生から6年生の間に目覚しく発達し成長します。物事に対する考え方や周りの人間関係も変化し、様々な感情も芽生えてきます。

小学生になると「もう小学生なんだから」と、子どもを見る大人の目や扱われ方も変わってきます。幼児期には「元気で活発な子」と言われていた子どもも、小学校に入ると「落ち着きがない子」などと見られることがあり、その環境の中で「協調性」や「規則を守る」ことを求められるようになってきます。

このように周囲の見方や環境、そして体も変化していく児童期の子どもの心はどのように変わり、成長していくのでしょうか。

小学生の心と体

この6年の間に子どもの身体は大きく成長します。男女共に入学から卒業までに身長は約30cm伸び、体重は約20kg増加しますが、小学校の後期になるほど女子の成長が早くなるのが特徴です。

運動面では筋肉の発達により、走ったりジャンプしたりバランスをとれるようになる等の「粗大運動」と、字や絵を書いたりお箸を持つなどの指先を使う「微細運動」の能力も高まり、思考能力についても目の前の物を直観的に見てイメージを持ち、抽象的、論理的思考が出来るようになります。

心の面でも、学校で沢山の同年代の子どもたちと長い時間過ごすようになることから、親子関係が中心だった生活から友達との関係に関心が向くようになり、社会性を発達させていきます。

低学年の子どもの心理

低学年の子どもは見たことをヒントに論理的な思考をするようになるため、周囲の友達の影響はとても大きいと言えます。

クラスメイトを真似して学習することをモデリング(観察学習)と言い、例えば友達が良い行いをして先生に褒められた場合、自分も褒められようと同じような行いを真似して学習します。

モデリングには逆のパターンもあり、誰かが良くない行いをして叱られたのを見た時、その行いをしないようにしようというものです。

このモデリングによって出来るようになることを代理強化と言います。

代理強化とは、自分自身ではなく他人がある行為の結果として報酬を得たことを観察することを通して、自分もそうしようという思いを抱く(つまり、代理で強化される)ことを指す概念である。

このような事を積み重ねていくことによって、行動パターンを広げていきます。

低学年の子どもに求められる「発達動機」

小学校低学年を受け持つ教師にこの時期の子どもはどのような能力や技能を身につけておくべきかを問う調査では、協調性と注意力という意見が多くみられたとのことでした。

小学生になると、幼稚園や保育園では無かった勉強についての評価もされるようになります。親は子どもに「勉強しなさい!」と、つい言ってしまいがちですが、子どもの意欲を引き出すためには大変なことをやり遂げようとする動機「発達動機」を高めることが重要です。

この発達動機を高めるには最初から大きな目標を立てるのではなく、小さな目標から一つずつ達成していき、最終的にその大きな目標を達成するといった方法が有効的です。

例えば、問題集を子どもに渡して「今日中に全部やりなさい」と言っても目標が高すぎてまだ低学年の子どもはもちろん、大人でもやる気をなくしてしまいますよね。

「一日1ページずつ頑張ろうね」などと小さな目標を設定して、それをコツコツ積み上げて達成するという方法が良いということです。

子どもが頑張っていることを周りの大人がちゃんと見て応えてあげて、尚且つ褒めてあげることによって意欲が湧いてきます。これは学校での勉強面や運動面に限らず、習い事などに関しても言えることです。

子どものやる気を引き出すためには

小学生になると学習面において学校での勉強はもちろん、宿題などやらなくてはいけない事が多くなります。その際、子どものやる気を引き出すために二つのパターンがあります。

  • 褒めてやる気を起こす正の強化
  • 叱ってやる気を起こす負の強化

例えば、テストの点が80点だった時に、正の強化では「80点とれてすごいね、頑張ったね!」と褒めるのに対して、負の強化では「次のテストではもっといい点をとらないとおやつは無しだよ!」と叱ることです。

この場合、次のテストで90点だった時、正の強化では更に褒められることによって「嬉しい」という感情から、もっと勉強を頑張ろうと向上心が出てくるようになります。

反対に負の強化では、「叱られずに済んだ」という安堵感だけが残り、テストの度に不安に晒されるため、勉強が嫌いになってしまうことがあります。

このような原理をオペラント条件付けと言い、良い結果が出るとそれを繰り返すということが心理学者のスキナーの実験によってわかっています。

低学年の子どもの学校でのストレス

小学生になると環境が変わり、子どもは様々なストレスを感じています。

幼児期までは園まで親が送り迎えしてくれていたのに対し、小学校では朝から一人で学校に行かなければならない、時間に沿って決まったことを決まった時間にやらなければいけない、更には自分一人でやらなきといけないことも増えてきます。

また、自由に自己主張ができなくなったり、集団行動や長い時間静かに座って先生の話や授業を聞くことにストレスを感じることもあるでしょう。

これらは学校生活を送っていくうちに慣れていきますが、不安から学校に行けなくなったり、お母さんに安心感を求める母子分離不安になる可能性があります。

母子分離不安になると、お母さんが一緒じゃないと学校まで行けない、お母さんが横にいないと不安で寝れないなどの症状が見られます。

更に不安がと強くなると、頭痛、腹痛、吐き気、夜尿などの症状が現れる場合もあり、それが長く続くと分離不安症と診断されることがあります。

子どもが抱えるストレスは学校内だけに限らず家庭内でも存在している場合があるので、親は子どもの異変を見逃さないよう注意が必要です。

*家庭内でのストレスに関してはこちらでお話しています↓↓↓

子どもが抱えるストレスの要因

低学年の子どもへの接し方

学校での不安やストレスを抱えている子どもに対して親はどのように接すれば良いのでしょうか。

まずは、子どもの目を見てゆっくりと話を聞くことが大切です。どんな場面でも親が先読みせず、子どもの言葉を待って共感してあげることが子どもを安心させ、親子の信頼へと繋がっていきます。

*子どもの話の聞き方についてはこちらでお話しています↓↓↓

子どもの話の聞き方と姿勢

おわりに

子どもは幼児期から児童期に入り小学生という大きな変化に適応するため、まだ計画に沿って物事を進める概念のない低学年のうちは大人のサポートは必要不可欠です。

子どもが新しい環境に慣れていき、楽しい学校生活を送ることができるように親は常に子どもの様子を気にしながら子どもの言葉に耳を傾けて共感し、些細なことでもたくさん褒めてあげることが大切です。

ちょっとでも参考になってもらえたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました♪

*小学校中学年(3・4年生)編はこちらです↓↓↓

中学年の子どもの心理と関わり方

*小学校高学年(5・6年生)編はこちらです↓↓↓

高学年の子どもの心理と思春期

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