高学年の子どもの心理と思春期

子育て

小学生といっても高学年(5・6年生)の頃になると「児童期」という呼び方と共に「思春期」という呼び方も加わってきます。

思春期になると親と意見がぶつかって親子ケンカになることも多くなり、「反抗期」とも呼ばれます。

そして、この時期になると可能性や仮説を立てて物事を考えられるようになり、大人と同じ思考力を持つようになってきます。

身体も急激に成長して大人に近づき第二次性徴と呼ばれ、人間の生涯において心も身体も変化の大きい時期と言えるでしょう。

そんな時期でもある高学年の子どもの心理とはどのような状態なのでしょうか。

高学年の子どもの心

小学校高学年の子どもは親を基準としてきた世界から、自分で判断し自分達の世代の価値観で物事を考えて行動するようになってきます。

ですが、まだ未成年であることによって社会から多くの規制を受けたり禁止されることがあるため、イライラが募る時期と言えます。

女子の場合、自分の身体の変化を受け入れることが簡単ではないため、それと共に自分の身体に対する不満が強くなってくることもわかっています。

更に外見(容姿)が気になる時期でもあり、近年では今よりもっと痩せたいと思う子が急増しているという調査結果もあります。

また、周りの目が変化してくることによって自分に対する意識も変わり、他人からどう見られているのかとても気になる時期です。

それと同時に異性への関心も芽生えてくることによって、クラスメイトや先生は自分のことをどう思っているのか、このように思われているのではないかなど自分自身についての印象や、まだ起きていない先のことを悲観して悩んだりすることもあります。

この頃は様々なことにおいて敏感になってきます。「第二反抗期」と呼ばれる時期でもあり、親に対して激しく反抗するようなことも多くなります。

高学年の子どもと親の認識のズレ

心も身体も急成長する高学年とは言え、まだ小学生。「反抗期」は中学生になってからくるものだと思っている親御さんも多いのではないでしょうか。ですが、もちろん個人差もありますが、早い子ではこの時期に「第二反抗期」に入ります。

高学年になると子どもの成長と子どもに対する親の認識にズレが生じ、親に対して激しく反抗するようなこともあり、親子でぶつかる機会も増えてきます。友達と過ごす時間も多くなり、親密な関係を築いていくようになります。

その一方で周囲の目が気になり、仲間はずれになることを恐れて「好かれる自分」を演じることもあります。そのようなことから、家と学校での態度が全く違うという場合があります。

思春期の心と体

子どもは誰でも「思春期」というものを迎えます。これまでの子どもとしての身体が多量なホルモンの分泌によってバランスが崩れ、大人の身体へと近づいていきます。

しかしながら、心はまだ子どもの部分が残っているために心が身体についていけずに不安定になり、精神面にも影響を与えます。

性ホルモンが多く分泌されるとそれまでとは違う心の動き方をするため、不安攻撃性過敏性自己中心性相反する価値観が混在している状態になってしまいます。

更には親に対して暴言を吐いたり、物を投げつけたり、自分の部屋に閉じこもってしまうというような行動を起こすこともあります。

そんな時、親は決して怒らず「いつでも話をきくからね」と優しく一言声を掛けて、子どもに対して常に受動的な態度でいることが大切です。

思春期に現れやすい症状とは

心身ともに大きな変化が起こる思春期は心と身体の不安定さから思い込みや雑念などのストレスによって神経症適応障害が現れやすくなります。現れる症状は女子と男子とで違いもみられます。

女子に多くみられる症状

・拒食症や過食症などの摂食障害や自分の体臭や口臭などを必要以上に気にして不安に陥る自己臭恐怖

・他人の視線が気になったり逆に自分の視線が相手を不快にさせていないかと心配になる自己視線恐怖

・自分の身体に外見上の大きな欠点があると思い込み、日常生活に支障をきたす程の苦痛を感じて悩んでしまう醜形恐怖などの思春期妄想症

男子に多くみられる症状

・自分が他人にどう思われているか気になり、他人との交流で不安が生じる状況を避けることにより日常生活に支障をきたしてしまう対人恐怖症

・人前で過度の緊張をしてしまう対人緊張

・攻撃的な衝動を抑えることができなくなり、家庭内暴力や校内暴力といった暴力行為、非行

思春期を迎えると精神面で不安定になってしまうことから物事をネガティブに捉えてしまい、最悪の場合自傷行為をすることも考えられます。

家族や学校、地域で連携して子どもを見守り、干渉し過ぎずにある程度の距離感を保ちながら子どもに対してしっかりと接していくことが大切です。

高学年の友達関係

最初の方でもお話した通り、高学年は年齢も10代に入り、人からどう思われているかとても気になる時期でもあるため自分の感情をぶつけ合うようなケンカも少なくなります。

近年では、本音を話す一定の友達というよりも広く浅くといった付き合いが多い傾向にあります。

現代の小学生は、殆んどの子どもがスマートフォンを持っていることからSNSでのやり取りも低年化しています。そのため、見知らぬ人との繋がりからトラブルやスマホ依存の問題も懸念されています。

スマホ依存症については、子どもに限らず重度の場合は専門のクリニックなどでの治療も必要になってきます。

下記のチェック✔して該当項目が多くみられる場合はスマホ依存度が高い可能があります。

●LINEの返信がないと気になり頻繁にチェックする

●常にスマホが手元にないと落ち着かない

●食事中もスマホを見ていることがよくある

●お風呂やトイレにもスマホを持ち込む

●人と話している時もスマホをチェックしている

●スマホを見ながら眠ってしまうことがある

●起床すると先ずスマホをチェックする

●歩きスマホをしてしまう

●外出中に充電が切れると不安に襲われる

小学生のスマホの利用に関しては子ども任せにせず、利用サイトの規制、使用時間など家庭内できちんとルールを決めることが大事です。

なるべく親のもとで使わせるようにし、SNS上でのいざこざや携帯ゲームの課金等の高額請求など、トラブルから子どもを守ることが重要です。

一人遊びや子どもの多忙化による影響

今はスマホやゲーム機の普及により、子どもの一人遊びが多くなったと言えます。人間同士の関わりが無ければ「喜び」「悲しみ」「怒り」など感情の体験ができず、心が発達していきません。

更に、連日の習い事や塾通いにより集団で遊ぼうと思ってもスケジュールが合わず友達と遊ぶ機会が少なくなり、人間関係を築く上で最も大切な社会性が身につかず、いわゆるコミュニケーション能力の低下に繋がる恐れもあります。

この頃の子どもは「親友」という存在から自分自身についての確認をするため「親友」の存在がとても重要になります。親友を持ち、親密な関係を築いていくことが子どもの安心、そして安定へと繋がっていくのです。

高学年になると問題行動も起こりやすくなります。友達関係の拗れから不登校になってしまうケースや、近年では中学受験をする子が増え、まだ小学生でありながらも親の期待に応えようと本当にやりたいことを我慢してストレスを抱えながらの生活を送っている子もいます。

また、思春期の変化に耐えられずに突然キレてしまうこともあります。「突然キレる」という行為は思春期の変化だけが原因とは限らず、様々な要因があります。幼児期からの生活環境が関係しており、脳に影響を及ぼす大きな問題です。

*キレる子どもの心理についてはこちらでお話しています↓↓↓

「キレる」子どもの心理と脳のメカニズム

おわりに

社会に出た時のための大切な経験や体験が必要とされるこの時期では、親は子どもに目を向け、小さな変化をも見逃さずにその都度しっかり対応することが大切です。

そして、いつでも肯定的に話を聞き、子どもが安心できるより良い環境づくりをしていくことが親との信頼関係を築きいていくのです。

自分の子どもに問題が生じた際は目を逸らさず状況を受け入れ、周りの人に相談したり、場合によっては親自身がカウンセリングを受けて現状を見直すことも方法の一つだと考えます。

ちょっとでも参考になってもらえたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました♪

小学校低学年(1・2年生)編はこちらです↓↓↓

低学年の子どもの心理と関わり方

小学校中学年(3・4年生)編はこちらです↓↓↓

中学年の子どもの心理と関わり方

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